「つぶしが利く」と言われ続けた資格で、やっと自分の場所を選んだ

仕事

薬剤師になったのは、なんとなくでした。理系が得意で、親に「手に職をつけなさい」と言われて、気づいたら薬学部にいた。そういう学生は、おそらく珍しくないと思います。国家試験に合格したときも、達成感より先に「さて、どうしよう」という気持ちが来たのを覚えています。

最初に就職したのは、郊外のドラッグストアでした。調剤併設型で、処方箋対応をしながら市販薬の販売も担当する。覚えることは多かったけれど、仕事自体が嫌だったわけじゃない。ただ、五年ほど経ったころから、このまま同じ場所にいることへの漠然とした違和感が出てきました。成長しているのかどうか、よくわからなくなってきたんです。

転職を意識し始めたのは、同期の薬剤師が病院に移ったという話を聞いてからです。ドラッグストアと病院薬剤師では、業務の中身がかなり違います。病院では医師や看護師と連携しながら薬物療法に関わる場面が多く、より医療の現場に近い感覚があると聞きました。自分もそういう環境に身を置いてみたいと思い始めたのが、動き出すきっかけでした。

実際に転職活動を始めると、薬剤師は求人が多い反面、条件を細かく見ていくと思ったより絞られることがわかりました。給与、勤務時間、専門性、立地。全部を満たす職場はなかなかなくて、何を優先するか自分の中で整理する時間が必要でした。

今は市内の総合病院で働いて一年半になります。覚えることは今も多く、気を抜ける場面は正直少ない。でも帰り道の疲れ方が、以前と少し違う気がします。消耗している疲れじゃなく、使い切った疲れとでも言うのか。その違いが、今の場所を選んでよかったと思える理由になっています。

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