祖父の古いラジオ

大学卒業後、就職活動がうまくいかず、実家で燻っていた時期、祖父の古いラジオを見つけた。木製のボディに錆びたダイヤル、祖父が「昔はこれで世界を聴いた」と自慢していたものだ。

試しに電源を入れると、ザザッというノイズの後、懐メロが流れた。祖父は私が小さい頃、ラジオを聞きながら戦争や青春の話を聞かせてくれた。修理を思い立ち、ネットで調べながら真空管を交換。2週間後、クリアな音が響き、祖父の笑顔を思い出した。

夜、ラジオを聞きながら、祖父の「焦らず自分の道を進め」との言葉が蘇った。就活のやる気が湧き、履歴書を書き直し、面接で「趣味はラジオ修理」と話した。面接官が「面白いね」と興味を示し、採用に繋がった。ラジオは今、部屋の特等席に。

深夜、音楽やトーク番組を聴くと、祖父と会話している気分になる。去年、祖父の命日に、母とラジオで彼の好きな演歌を流した。母は「父さん、喜んでるよ」と涙ぐんだ。

ラジオは、祖父の知恵と私の未来を繋ぐ宝物だ。いつか、子どもにこのラジオの物語を伝えたい。仕事で疲れた夜、ラジオのノイズは、祖父の優しい声に変わる。

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